井戸があると、普段の花への水やりや風呂など様々なことに使用できます。水道水の水が使用できない緊急時にも水がくめるので便利です。また、水道代の節約にもなります。
実は、打ち抜き井戸はDIYできます。掘ったり泥水をかき出したりと、決して簡単な作業ではないですが、とてもやりがいがありますし、自らの手で井戸ができるのでとても魅力的です。井戸を作る前にはしっかり下調べをして、安全面に配慮して作業を行うようにしましょう。
井戸を掘る前には下調べが必要
いざ井戸を掘ろうとすると、水脈になかなか当たらず、水が出てこない場合があります。そのため、掘る前に予定の場所の地下数メートル範囲に水脈があるかどうか調べておくと良いでしょう。
一番確実なのはボーリング調査を依頼することですが、個人で調査する場合は以下の3つの方法を取ることができます。
・周辺のボーリング調査歴を調べて詳細を知る
・井戸の設置について役所の水道管理科に訪ねてみる
・近所の人に井戸状況を聞いてみる
周辺のボーリング調査の結果内容を知ることで、井戸掘り予定地の地層をおよそ把握することができます。地下水脈がある可能性のある「砂れき」という地質が含まれていれば、井戸を掘った際に水が出てくる可能性があるのです。このボーリング調査に10メートル以上の深度を掘らなければ「砂れき」に当たらないと書かれていた場合、個人での井戸掘りは非常に厳しいものになります。そのため、検討し直すことも念頭に置く必要があります。
また、打ち抜き井戸の場合は、穴の直径が十数センチと小さいので、大きめの石が地層に含まれていた場合も井戸掘りは避けた方が良いでしょう。井戸から取り出した水を下水道に排水するようにしなくてはいけません。そのため、井戸掘りを行う際は、同時に役場へ届け出をしなくてはならないのです。
井戸を所持している人が届け出をしなくてはいけないということは、水道管理科は井戸の数や状況を把握していることになります。よって、尋ねると周囲の井戸状況を把握できるでしょう。また、近所の人に井戸の状況を尋ねるのも良いです。井戸の深さや水質を知ることができるので、参考にしやすいです。
井戸掘りに必要な道具を揃える
場所がある程度決まったら、次は井戸掘りの道具を揃えましょう。
抜き打ち井戸を作る場合は以下のものが必要になります。
・塩ビ管
・井戸掘り機
・シャベル
・バール
・ポール
・スコップ
・砂
土が固い場合にあると便利なもの
・単管
井戸掘り機は別名「弁利用型井戸掘り器」とも呼ばれており、先端にゴム板が取り付けられて、弁の役割を果たしています。使用した際に底にある砂利や土、水を井戸掘り機内に巻き上げて、井戸の外へ取り出すことができます。井戸掘り機は塩ビパイプとゴム板等で簡単に自作することができます。井戸掘り作業をする前に作っておきましょう。
井戸掘りの進め方
1.掘る
初めにスコップで1メートル四方ほどの穴を掘ります。土は後ほど埋める際に使うので、戻しやすい位置に摘むと楽です。 スコップであらかた掘り終えたらシャベルで掘り始めます。時々まっすぐ垂直に掘れているか確認すると、後で掘りなおさなくても済みます。また、固い土に当たったらバールで突きほぐし、シャベルで取り除きましょう。
2.井戸掘り機を使用する
掘り進めていくと、徐々に石が出なくなってきます。そのあたりで水が溜まってこない場合は、井戸水として使用できるほどの水が期待できない可能性が高いです。そのため途中でも掘るのをやめた方が無難でしょう。
井戸掘り機に塩ビ管を取り付け、土に向けて数回突いて、泥が溜まったらたたき出すのを繰り返します。垂直に掘れているか時々確認しながら、掘り進めます。この時に石が出てきたら、掘るのをやめましょう。途中で塩ビ管が足りなくなったら、他の塩ビ管をタップビズ等でつなぎ、さらに掘り進めていきます。
目標の深さはおよそ水深が1~2メートルになるぐらいです。水をたくさん含んでいる「砂れき」付近まで掘れていて、その層に到達できていれば水を吸い上げることができます。しかし、掘りすぎや掘るのが浅いと水を吸い上げることができず、井戸としてうまく機能しなくなるので注意が必要です。
3.井戸ポンプを設置する
無事掘ることができたら一旦中に溜まった水を取り除きましょう。掘った影響で泥水が溜まっているため、ポンプなどで水がきれいになるまで取り出します。水がきれいになったら底に砂利を敷き、塩ビ管を設置します。もし掘削した穴が曲がっていた場合、塩ビ管が上手く刺さりません。うまく刺さらなかった場合は、掘った穴に調整を加え、水がきれいになるまで取り出す作業を繰り返さなくてはいけません。
上手く塩ビ管が埋まったら、掘った穴を埋めていきます。埋める穴より多めの砂を用意しておき、重たいもので突き固めます。掘った際に出てきた粘土層の土を盛って、同様に突いて固めます。粘土層は水を通しにくく、濁った雨水などが井戸水に混入するのを防ぐ役割を果たします。50センチ以上の厚みがあると良いでしょう。
突き固める際は一気に行うとうまく固めることができないので小分けにすると良いです。ポンプ台を作った後用意した手押しポンプや電動ポンプを設置し、取扱説明書などを参考に設置します。
自分で井戸を掘るときの問題点
一番の問題は安全面への配慮が難しいというところです。井戸掘りは最低でも2メートルほどは掘ります。深度が深く、作業中は常に危険を伴います。また1人で作業をする場合、慣れない人が行うと1日で完成することが難しく、数日がかりになります。その間穴が開いたままになるため、誤って誰かが転落してしまうと大変なことになります。
井戸を掘る際は周囲に穴があるということを知らせる手段があると良いです。立札やカラーコーンに注意書きがしてあると良いかもしれません。自分での井戸掘りは失敗がつきものです。掘り進めた結果、水が出ず、掘った時間と労力だけがかかることも多々あるのも事実です。深く掘りすすめてしまう前に、本当に水が出るのかどうか途中で様子を見ながら判断をするようにしましょう。
また、井戸を掘った際は水質検査を必ず行いましょう。井戸を掘ったからと必ずしもきれいな水が出るとは限りません。飲み水に使えない水が出る可能性もあり、誤って飲んでしまうと体調不良の原因になるので気をつけましょう。
まとめ
井戸掘りはDIYできますが、大変な作業ですし、短時間で完成するような難易度でもありません。しかし、実際掘り進めてから水が出てくると、「本当に水が出てきた!」と童心に帰って感動します。普段経験しないような作業ですから、興味があるのであれば挑戦してみるのも良いかもしれません。
井戸掘りする際は安全面に気を配りつつ行うことが大切です。せっかく楽しみながら井戸掘りを行っているのですから、思わぬアクシデントやトラブルは回避したいものです。回りに気を配りながら楽しみつつ井戸掘りを行いましょう。