「井戸を埋めたいのだけど、いろいろ調べていくと、なんだか適当に埋めればよいわけではないみたい……」。昔から貴重な水源であった井戸には、神様が宿っているといわれているため、適当に埋めてはいけないという暗黙のルールが存在しています。
また、井戸は水が流れている場所に築かれているため、埋めるにしても手順が存在します。その手順を理解せずに井戸を埋めてしまうと、困った事態に発展してしまうこともあるのです。今回のコラムでは、なかなかわかりづらい井戸を埋める方法や手順を解説します。
井戸を埋める流れ
井戸を埋める作業は、下記のような流れに沿って進めていきます。適当に進めてしまうのではなく、ひとつひとつの意味や順序を守ることで、難しく感じてしまう井戸を埋める作業をスムーズに見届けることができるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
井戸内部の掃除
まずは手始めに、井戸の内部に入っているゴミを取り除いていきます。長らく使用していない井戸の場合は、とくに落ち葉やビニール袋などのゴミが入ってしまっていることも多いようです。井戸を埋める作業をおこなう際は、ゴミ取り掃除から始めていきます。
目安として、井戸の下の土が露出するくらいまでは、キレイにしたほうがよいでしょう。面倒だからといって、井戸の中のゴミ取りや掃除をおこなわないのは厳禁です。井戸は昔から、命をつなぐための水源として活用されてきました。
井戸には神様が宿っているともいわれています。今後使わなくなるとはいえ、敬意を払うことは必要でしょう。また環境面から見ても土に還ることがないビニール袋などを、地中に放置することはNGでしょう。井戸内部は手始めに、キレイに掃除をしておきましょう。
お祓いをする
昔から貴重な水源として使用されてきた井戸。その命をつなぐ重要な役割から、昔は井戸を埋める行為は厳禁とされてきました。現在でも同じように考えている人は多いでしょう。生活を大きく支えてきた井戸の存在は、海に囲まれた日本ではとても大きなものです。
井戸を埋めるときは、お祓いをすることが慣習となっています。お祓いをすることで、井戸に宿っている神様を敬(うやま)い、これまでの庇護(ひご)に感謝をささげるのです。お世話になってきたものに感謝を伝える。それはほかの物事であっても同様でしょう。
とはいえ、こちらのお祓いの手順に関しても、禁止とされている行為はいくつかあります。梅やお酒など、神様のためを考えてささげたものが、実はNGに当たる可能性もあるのです。詳しい方法がわからないときは、地域にある神社などで確認するのがよいでしょう。
息抜き
息抜きとは、井戸を埋める際に細いパイプをとおす作業のことをいいます。息抜きをするのは、井戸に宿っている神様が息をできるようにする意味や、井戸から発生するガスを放出する、という役割があるとされています。お祓い同様、慣習的な影響が強いです。
とはいえ、息抜きにはほかの、物理的に有効な意味合いも存在しています。たとえば、井戸がその場所にあったというサインになる、というものはその代表でしょう。井戸があった場所の地盤は緩いことが多いため、家を建てるのには不向きなことが多いです。
慣習的な意味でも、物理的な意味でも、息抜きには重要な意味があるのです。井戸を埋める作業を業者に依頼した際には、「息抜きをしますか?」と聞かれることもあるでしょう。そうしたときは、これらの意味を知ったうえで判断するのが、よいかと思います。
水の流れを確保しつつ埋める
井戸はすなわち、地面の下に水源がある場所です。そんな水が流れる、溜まる場所に通常の“目が細かい砂”を用いて、フタをしてしまったらどうなるでしょうか? すぐに砂に水が浸透してしまい、埋めた場所の地盤はもろく柔らかいものになってしまうでしょう。
井戸を埋めるときは、目の粗い砂利などを使用することが推奨されています。井戸を埋める手順としては、「土管を割る」「砂を入れる」「水で土を締める」を繰り返します。土管を割った範囲まで土を注ぎ、水で押し固める。この手順を地面に到達するまで続けるのです。
井戸を埋める作業は、基本的に上記の4手順が基本といえるでしょう。どの作業も井戸を埋める際には欠かすことのできない、重要な工程です。この手順を覚えておけば、業者に作業を依頼した際にも、すんなりと理解をすることができるでしょう。
井戸のお祓いはすべき?しないべき?
「手順は理解できた、でもお祓いって絶対にやったほうがいいことなの?」、そんな風に考えている人、実は意外と多いのではないでしょうか?確かにお祓いをするにしても費用は掛かりますし、節約するという観点では悩みどころであるといえるでしょう。
しかし、前述したように井戸はただの水を確保できる場所、という役割があるわけではありません。人間の命をつなぐためのかけがえのない場所として、珍重(ちんちょう)されてきた歴史があるのです。そこには当然、神様が宿っているともいわれます。
一般的にいえば、井戸を埋める際のお祓いはしたほうがよいでしょう。どうしても譲れない理由があるのであれば、話は別かもしれません。しかし、これまでの感謝と敬意を表す意味でも、井戸を埋めるときはお祓いをしたほうがよいといえるのではないでしょうか。
井戸にかかる費用は地域・規模によって変動する
井戸を埋める作業。業者に依頼をするにせよ、これまでに経験があるという人は圧倒的少数派でしょう。井戸を埋める作業を依頼した場合、どのくらいの費用が掛かるのか想像もできない、という人が多いのではないでしょうか?
井戸を埋める作業にかかる費用は、井戸がある場所や、地域によって異なります。業者が現地に出向くためにかかる交通費などの費用も影響するからです。井戸自体の規模によってもかかる費用は大きく異なります。そのため、まずは見積りを取るのがよいでしょう。
「相場はいくらくらいなの?」と聞かれれば、およそ10万円が作業の相場金額といわれています。目安として考えるのはよいでしょう。しかし、やはり明確な金額を確認するのであれば、業者への相談、もしくは見積り依頼が鉄則といえるでしょう。
費用を抑えたいなら相見積り!一緒に知っておくべき業者の選びかた
“相見積り”は、複数の業者から見積りを提示してもらい、その中から費用が安い業者を探し出すための最高の方法です。井戸を埋める作業の相場価格を知るにせよ、費用がもっとも安い業者を探すにせよ、必ず試しておいたほうがよいでしょう。
相見積りで費用を比較したのち、気になる業者がいくつかあれば、そこからの判断は公式サイトや口コミサイトなどを参考にしてみるのがよいでしょう。近所に井戸を埋めたことがある、という人がいれば聞いてみるのも手です。業者選びはとても重要ですよ。
まとめ
井戸を埋める、と聞くと土で埋めてしまえばよいと思ってしまう人もいるでしょう。しかし、実際に井戸を埋めるときには掃除やお祓い、息抜きなどのさまざまな手順が存在します。業者へ相談をするときにも、流れがわかっているのは非常に安心できるでしょう。
井戸を埋める作業にかかる費用は、地域や井戸の規模によって大きく異なります。相場を知るにせよ、安い費用で依頼できる業者を探すにせよ、まずは相見積りをおこなってみるのがよいでしょう。信頼のできる業者を、選んでみてくださいね。