井戸といえば、古い日本家屋の大きな庭にあるイメージを抱く方が多いのではないでしょうか。そういえおばあちゃんの家にあったかもしれない!という方もいるかもしれませんね。
最近は、自宅のお庭に井戸を設置する人が少しずつ増えています。井戸水があると災害時の備えになる上に水道代も安く済むことから、需要が高まっているようです。
しかし、井戸を設置するには当然穴を掘らなければなりません。一体どれくらいの費用がかかるのか、とても気なるところです。
当コラムでは、井戸掘りにかかる費用の目安や、井戸水を使用することで得られるメリット・デメリットをご紹介します。また、業者選びのポイントも併せてお伝えしますので、現在井戸掘りを検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
井戸掘りにかかる費用は○○で左右される
費用に関しては誰もが気になるところですよね。井戸掘り全体でかかる費用は、数十万~100万以上と言われています。
しかし、井戸掘りをするのは初めてという方が大半だと思いますので、費用の内訳がまったくわからないという方が多いかもしれません。さっそくこの章で詳しく解説していきます。
井戸掘りをする目的
一般的な井戸掘りをする目的は、「水道代を節約するため」というのがほとんどです。おしゃれな庭づくりをするためという人や、災害時の備えと考える人もいらっしゃいますが、誰もがコストを抑えたいと考え井戸掘りを検討していることでしょう。
たしかに、長い目で見た場合コスト抑制には向いていますが、井戸掘りにかかる費用は井戸の深さやお住まいの地域など、さまざまなことが関係してくるので事前にしっかり調べておくのが必要不可欠と言えます。
また、設置した井戸の井戸水を、おいしい水を飲むための「飲用水」として使用するのか、それとも庭の植物に水を与えたりするための「雑用水」として使用するのかなど、井戸水の使用用途によって必要な水量や水質が異なってきます。
飲用水として使用する際は、各自治体の水質検査を行う必要も。これらの目的に沿った井戸掘りをするためには、以下が重要になってきます。
お住まいの地域
井戸を設置する地域によって、また使用する目的によって井戸の深さや口径、一度に汲み上げる水の量や帯水層が異なります。また、地域によって設置できるタイプとできないタイプの井戸があったりもするので、業者にしっかり調査してもらうのが重要となるでしょう。
井戸の深さ
井戸掘りの深さが深ければ深いほど費用が上がります。また、掘る際に調査する地層の質、ケーシング(井戸内部の囲い)などによっても費用は変わってきます。
付帯費用
掘削するのにかかる費用は、通常数十万からと言われています。さらにそこから付帯費用として、ポンプや砂こし器の費用、出張料、電気代や水道代などが加わります。また、深さによる追加料金が発生することもあります。
しかし、最近の井戸掘り業者はポンプなどの設備や材料費を含まず井戸掘りをしてくれるところもあるので、年々利用しやすくなっています。
井戸掘りの流れが知りたい!
ここまで、井戸掘りにかかる費用の目安についてご紹介してきました。続いては、井戸掘りの際に使用する器具と、井戸掘りの全体的な流れをご紹介します。
現在は小型の掘削機を使用する
井戸掘りの際は、掘削機(くっさくき)という器具を使用して掘ります。昔は大型のボーリング機械を使用して井戸掘りをしていたので費用が高く、自宅で井戸掘りをする人は少数でした。
しかし、ここ最近は掘削設備が進化しており、高性能かつ低価格で井戸掘りができるようになりました。時代とともに、井戸掘りの技術もどんどん進化しているのです。
井戸掘り全体の流れ
一般的な井戸掘りの流れをここでご紹介します。
1.井戸掘りする場所の地下に配管などがないか確認します。
2.掘削機を利用し、地下水に届くまで掘り進めます。
3.井戸の底をきれいに保つため、洗浄作業を行います。
4.ケーシングを差し込み、井戸枠を作ります。
5.井戸の底の周りに砂利を埋め、ケーシング内の砂や泥を掃除します。
6.井戸水をくみ上げるためのパイプを入れ、電動ポンプを設置します。
井戸水についても知っておこう
井戸を設置したら井戸水を使用することができますが、具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのかご存じでしょうか?これらをしっかりと抑えたうえで井戸掘りを検討するのも大切です。
井戸水のメリット
■水道代がかからない
最大のメリットは、一章でもふれましたが「水道代がかからない」ということです。そのかわり水を汲み上げるポンプの電気代はかかりますが、それも微々たるものです。子どもの水遊びや、庭木への水やり、またお風呂やお洗濯に使用することもできるので、大幅な水道代節約が期待できるでしょう。
■水温が一定である
地下数メートル~数十メートルの地下水は、一年を通してほぼ一定の水温を保っています。
一般的な水道水は地表近くを通っているため、夏は生ぬるく、冬は冷たく感じますよね。地下水はその反対なので、水が肌に触れたりする場合でも使用しやすいと言えます。
■水がおいしく、カルキの臭いがしない
日本で使用される地下水は良質なものが多いのでそのまま飲んでもおいしいと言われています。また、一般的な水道水のようにカルキ(塩素)が含まれていないので、鼻につくような臭いがなく、また肌にもやさしいのが特徴です。
■災害時に役立つ
最後にとても重要となるのが、災害時の備えとして活用できる点です。今の時代、ほとんどの方が非常用に2リットルの水を備蓄しています。しかし、それらは飲める清潔な水であって、生きていくうえで欠かすことのできないトイレなどの衛生管理に回すことはなかなか難しいものです。
しかし、トイレがないために食事や水を控え、体調を崩したりする場合も実際にあるので、いざというときに井戸水は救世主となるでしょう。
井戸水のデメリット
■水が汚れている場合がある
井戸水の水質は、常にきれいに保たれているわけではありません。
時と場合によって変化してしまうので、浄水器を設置したり、定期的に水質検査をしたりしたほうがよいでしょう。
■停電の際、水が出なくなる
井戸水は電気の通ったポンプで汲み上げられるようになっているため、停電したらポンプが作動しなくなってしまいます。昔は手動で水を汲むタイプのものが主流でしたが、最近はほぼ電動ポンプで汲み上げるタイプが採用されています。
■井戸の水量が足りない場合がある
井戸堀りをしたところから必ず豊富な井戸水が出るかというと、実際は掘ってみないとわかりません。もちろん事前に調査を行った上で掘り進めますが、こればっかりはどうしようもない現実です。井戸掘り業者によっては、井戸掘りをして井戸水が出なかった場合は費用が発生しない場合もあります。
■井戸ポンプの保守点検が必要
電動ポンプを使用しているとポンプの中に砂が溜まってくるので、定期的に除去しなければなりません。砂こし器を利用すると、砂をきれいに取り除くことができます。
井戸掘り業者を選ぶポイント
納得のいく井戸掘りをするためには、業者選びがとても重要になってきます。
お住まいの地域で信頼できる業者がいればそちらに依頼してみるものよいですが、初めからひとつの業者に絞らず、複数の業者から見積りをとって費用や作業内容などをじっくり比較するのがおすすめです。
また、それぞれの業者のホームページや口コミを見たりして、実績などの情報を集めるのもよい方法です。そうすることで、井戸掘りの目的やご自身の予算に合った業者が見つかることでしょう。
まとめ
井戸掘りの費用や井戸水の特徴をご紹介してきましたが、いかがでしたか?井戸掘りにかかる費用は一概にいくらとは言いにくいものなので、やはり信頼できる業者を見つけてしっかりと調査してもらうのが一番です。そのためにも、まずは見積りをとるところから始めてみてはいかがでしょうか?